「ターミナルにAIが直接住んでる」――Claude Codeを初めて起動したとき、頭に浮かんだのはそんな感想でした。ChatGPTやClaudeのチャット画面には慣れていたつもりでしたが、ファイルを直接読んで書き換えて、しかも私に「これで進めていい?」と確認してくる。この距離感の近さは想像以上でした。
とはいえ私はエンジニアではありません。介護の仕事をしながら、勤務表のExcelマクロを直したり、業務分担表のCSVをこねくり回したりする程度です。そんな非エンジニアが1週間Claude Codeを触ってみて、「これは何者なのか」「普通のClaudeと何が違うのか」を、AIに詳しくない人向けにまとめておきます。
そもそもClaude Codeって何?
Claude Code は Anthropic 社が出している、ターミナル(黒い画面)で動くClaudeです。ブラウザのチャット欄に文字を打つのではなく、パソコンのフォルダの中に住み込んで、ファイルを読んだり書き換えたりコマンドを実行したりします。
チャット版のClaudeとの違いをざっくり並べるとこうなります。
| 項目 | Claude(ブラウザ版) | Claude Code |
|---|---|---|
| 使う場所 | Webブラウザ | ターミナル(コマンドライン) |
| ファイル操作 | アップロード/ダウンロード | フォルダ内を直接読み書き |
| 得意なこと | 相談・文章作成・要約 | コード修正・複数ファイル横断作業 |
| 作業の進め方 | 1問1答が基本 | 計画→実行→確認を自律的に |
| 向いている人 | 誰でも | ファイルをいじる作業がある人 |
インストールから最初の会話まで
準備するもの
必要なのは Node.js が入ったパソコンと、Anthropic のアカウント(有料プランまたはAPIキー)だけです。私はMacのターミナルで npm install -g @anthropic-ai/claude-code を実行して、作業したいフォルダに移動して claude と打つだけで起動できました。
最初は「読むだけ」から始めるのがコツ
いきなり書き換えを頼むと怖いので、私は最初に「このフォルダの中身を説明して」とだけ聞きました。すると、勝手にファイル一覧を見て、「これはVBAマクロで、勤務表を集計する処理みたいですね」と返してくる。この時点で、フォルダ全体を把握してくれる感覚が普通のチャットとは違うと感じました。
非エンジニアの私が実際に使ってみた場面
場面1:深夜、勤務表の関数が壊れた
夜勤明けで頭が回らない朝、翌月の勤務表を開いたらセル参照がずれていて、日勤・夜勤のカウントが全部おかしくなっていました。以前なら関数を1個ずつ追いかけて数時間コースです。
今回はCSVに書き出してClaude Codeに渡し、こう頼みました。
このCSVは月間勤務表です。1列目が職員名、2列目以降が日付です。
記号の意味は 日=日勤, 夜=夜勤入り, 明=夜勤明け, 公=公休 です。
・各職員の夜勤回数を数えてください
・「夜」の翌日が「明」になっていない行があれば指摘してください
・修正案を新しいCSVで出してください
数十秒で、記号の並びがおかしい2名分を指摘してくれました。実際の修正は自分の目で確認しましたが、「探す」部分を任せられるのが大きい。
場面2:家族への説明文を10通、一気に個別調整
ケアプラン更新期は、担当利用者ごとに家族への説明文書を作る必要があります。10人分の下書きテキストがフォルダに散らばっていて、これを「同じトーンに揃えたい」「専門用語を平仮名に直したい」というときに使いました。
このフォルダ内の「家族向け_〇〇様.txt」を全部読んでください。
以下のルールで書き直した新ファイルを「clean/」フォルダに保存してください。
・敬体(です・ます)に統一
・「ADL」「BPSD」などの略語は括弧書きで日常語を添える
・1文は60文字以内を目安に区切る
・利用者ごとの具体的なエピソード部分は絶対に消さない
最後に、どのファイルで何を変えたかの一覧表を出してください。
ここで感心したのは、勝手に全部書き換えず「10ファイル対象です、進めていいですか?」と一度止まったこと。ブラウザ版のチャットで同じことをやると、1ファイルずつコピペする作業が発生して集中力が切れます。この「まとめて任せて、最後に自分で確認」という流れが一番の違いだと感じました。
意外な落とし穴:賢すぎて「勝手にやりすぎる」
ここが他のブログであまり書かれていない話です。Claude Codeは、頼んだこと以上に気を利かせて動いてくれる場面があります。これが便利な反面、落とし穴でもあります。
私が実際にやらかしたのは、「このスクリプトのエラーを直して」と頼んだら、ついでに周辺のファイルもリファクタリング(整理)してくれたケース。動作は良くなったのですが、元のファイルと差分が大きすぎて、後から「どこをなぜ変えたのか」自分で説明できなくなりました。
対策として、私は今こうしています。
- 作業前に必ず Git でコミットしておく(戻せるようにする)
- プロンプトに「頼んだファイル以外は触らないでください」と明記する
- 「まず計画だけ出して。実行は私がOKを出してから」と一言添える
- 個人情報を含むファイルは事前に別フォルダに退避する
特に3つ目は効きます。Claude Code は「Plan mode」という、実行前に計画だけ提示するモードがあり、これを使うと暴走を防げます。
Claude Code が向く人・向かない人
1週間触ってみて、正直に感じたことを書きます。
- 向く人:普段からExcelマクロやCSV、テキストファイルを何十個も扱う人。プログラマーでなくても、事務・企画・研究職ならハマる可能性が高い
- 向かない人:単発の質問・単発の文章作成しかしない人。それならブラウザ版Claudeで十分
- 意外と向く人:私のような介護職でも、記録テンプレートの一括変換、シフト表の整合性チェックなど「同じ作業を何ファイルにも繰り返す」場面がある人は恩恵が大きい
まとめ:チャットの次の段階にいるAI
Claude Code を触ってみて一番強く感じたのは、「AIとの付き合い方が、質問→回答から、依頼→報告に変わる」ということでした。ブラウザで一問一答していた頃は、私が全部の作業をハンドリングしていた。今は、範囲を切って任せて、上がってきたものを確認する立場に近くなっています。
非エンジニアがいきなりコードを書くために使うのは正直ハードルが高いです。でも、手元にある大量のファイルを整理する用途から入れば、Claude Code の便利さは十分体感できます。まずは自分のパソコンの、失っても困らないフォルダをコピーして、そこで claude と打ってみる。この一歩から始めるのがいちばん近道だと思います。
この記事を書いた人
AI介護士kaze運営者。介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士の資格を持ち、介護現場歴18年。現場のリアルな課題感を起点に、AI×介護の実用性を探求・発信しています。


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