「ケアプラン作成に5時間かかった」そのリアルな悩みからスタート
ケアプランって、本当に時間がかかりますよね。
ケアマネジャーとして担当ケースを持っていると、1件のケアプラン作成にかなりの時間を費やすことになります。アセスメントの整理、課題分析、長期・短期目標の設定、サービス内容の調整……。どれも「利用者さんの生活を支える大切な作業」とわかっていても、書類に向かう時間が長くなるほど、利用者さんと向き合う時間が削られていく矛盾を感じている方も多いのではないでしょうか。
そういった現場の声があるからこそ、「AIでケアプランが作れる」という話を聞いても、すぐには信じられないという気持ちもわかります。でも調べれば調べるほど、「これは本物かもしれない」と感じるようになってきました。
今回は、AIケアプランの作成方法について、現場目線で徹底的に調べた内容をまとめます。「AIって難しそう」と思っている介護職員の方にも、できるだけわかりやすく伝えます。
そもそも「AIケアプラン」って何をしてくれるの?
AIがケアプランを”代わりに”作るわけではない
まず最初に誤解を解いておきたいのですが、AIはケアプランを「全自動で完成させる」ものではありません。現状のAIツールができることは、大きく分けると以下のような「支援・補助」の役割です。
- アセスメント情報をもとに課題を整理・提案する
- 目標文言の候補を複数提示する
- 類似ケースのケアプランを参照・提案する
- 文書の誤字・表現の統一チェックをする
- 利用者の状態変化を分析してリスクを可視化する
つまり、「ケアマネジャーの判断を補う道具」というイメージが正確です。最終的な判断・確認・修正は必ず人間(ケアマネジャー)が行う必要があります。これは法的にも、倫理的にも変わらない大前提です。
AIが得意なこと・苦手なこと
AIを正しく使うには、何が得意で何が苦手かを理解しておくことが大切です。調べてみてわかったことをまとめると、こんなイメージです。
| 項目 | AIが得意なこと | AIが苦手なこと |
|---|---|---|
| 文書作成 | 目標文言の候補提示・文章の整形・表現の統一 | 利用者の個性・生活歴を反映した表現 |
| 情報分析 | 大量データからパターン抽出・リスク予測 | 非言語情報(表情・雰囲気・関係性)の読み取り |
| 提案 | 類似ケースの参照・選択肢の提示 | 「この人らしさ」に合わせたオーダーメイド提案 |
| スピード | 短時間での文案生成 | 文脈が複雑なケースへの対応 |
この表を見ると、AIは「時間のかかる定型作業を速くこなす」のが強みで、「人と人の関係性から生まれる判断」は依然として人間にしかできない、ということがよくわかります。
筆者の経験では、ケアマネ業務で時間を食うのは、アセスメントの情報収集とモニタリングです。アポを取り、日程を調整し、面談をして、帰ってから記録を書く。一連の流れで考えると、かなりの時間になります。
一方で、AIに書けない部分もはっきりしています。本人やご家族の言葉のニュアンス、数字にならない小さな変化、家族関係や生活歴を踏まえて「どこまで書くか」のさじ加減、サービス担当者との関係性で決まる調整です。
AIに任せられるのは、下書きの文章化まで。材料を集めること、本人の言葉を聞くこと、最後の判断は人がする、というのが筆者の実感です。
利用者さんと接するときに大事にしてきたこと
本人のペースと意思を待つこと。生活歴やその人らしさを知ること。
できることは奪わず、ご自身でしてもらい、できない所だけを支えること。対等な一人の大人として接すること。筆者が大事にしてきたのは、この4つです。
ほかの職種やご家族とのやりとり
ほかの職種と連携するときは、事実を数字や場面で具体的に伝えること、日ごろの雑談で関係を作っておくこと、相手の職種の視点を知ること、介護側の観察を自信を持って出すことを心がけてきました。相手の予定も考えて、簡潔に伝えることも大切です。
ご家族には、専門用語を使わずに暮らしの言葉で伝えること、できないこともはっきり伝えることを心がけてきました。
アセスメントの情報収集で工夫していたこと
本人より先に、ご家族やケアワーカー、前の事業所など、周りから情報を集めていました。
面談の前に、聞く項目を準備して持っていきます。その場で思い出そうとすると、漏れが出るからです。
雑談から入って、聞き取りに見えないようにします。構えられると、本音が出ません。
家の中の様子を見て、言葉以外からも拾うようにしていました。
サービス担当者会議の調整で苦労したこと
日程がそろわないこと。職種ごとに見ているものが違うこと。ご家族の希望と専門職の見立てが違うこと。調整で苦労したのは、この3つです。
ケアプランとAIの今
ケアプランの下書きにAIを使うのは、いま導入の準備をしているところです。まだ本格的には使っていません。
AIケアプランの具体的な作成方法【3ステップで解説】
ステップ1:アセスメント情報をAIに入力する
AIケアプランの起点は、アセスメント情報の入力です。現在活用が進んでいるAIケアプラン支援ツールでは、以下のような情報を入力することで、AIが分析を始めます。
- 基本情報(年齢・要介護度・疾患名・生活歴)
- ADL・IADLの状況(食事・入浴・移動・排泄など)
- 利用者・家族の希望・意向
- 現在利用中のサービス
- 主治医からの情報・医療的リスク
たとえば「要介護2・認知症初期・独居・娘が月2回面会」といった情報を構造化して入力すると、AIが「生活上の課題」を自動的に整理して提案してくれます。ツールによっては、入力から課題提案までが短い時間で完了するものもあります。
ステップ2:目標と支援内容の候補をAIに提案させる
課題が整理されたら、次は長期目標・短期目標・具体的なサービス内容の候補をAIに出してもらいます。
たとえば「転倒リスクが高い独居高齢者」というケースに対して、AIは次のような候補を提示します。
- 【長期目標の候補】「安全に自宅での生活を継続できる」
- 【短期目標の候補】「週2回のリハビリで下肢筋力を維持する」
- 【支援内容の候補】「通所リハビリ・住環境整備・定期的な安否確認」
ここで大切なのは、AIの提案をそのままコピーしないこと。「この方の言葉で語るとしたら?」「本人の希望に本当に合っているか?」を必ずケアマネジャーが確認・修正します。AIはあくまで「たたき台」を作ってくれる存在です。
ステップ3:人間の目で確認・修正・完成させる
最終ステップは、ケアマネジャーによる確認・修正・仕上げです。AIが出してくれた文案をベースに、以下の点を必ずチェックします。
- 利用者本人の意向・言葉が反映されているか
- 家族の状況・介護力が考慮されているか
- 医療・福祉のサービスが過不足なく入っているか
- 目標の期間・内容が現実的かどうか
- 表現が利用者に伝わりやすい言葉になっているか
AIを活用すれば、ケアプラン作成にかかる時間を減らせる可能性があります。その分を利用者さんとの面談や関係構築に充てられれば、現場にとって大きな変化になると考えています。
AIケアプラン支援ツールの種類と選び方
「実際にどんなツールがあるの?」と気になる方のために、現在見られるAIケアプラン支援ツールの大まかな種類をご紹介します。
- 音声入力対応の介護記録・ケアプラン支援ツール:音声でアセスメントを記録し、AI分析でケアプラン文案を生成するタイプ。記録の手間を大きく減らせるのが特徴です。
- 介護記録ソフトにAI機能が統合されたタイプ:既存の介護ソフトにAIによるケアプラン支援機能が追加されているもの。すでにソフトを導入している施設では移行の手間が少ない場合があります。
- 汎用AI(チャット型AI):介護専用ではないものの、アセスメント情報を入力して指示文(プロンプト)を工夫することで、目標案の作成補助として活用できます。無料で試せるものもあり、まず感覚をつかむには入りやすい選択肢です。
ツールを選ぶ際は、費用・導入のしやすさ・個人情報の取り扱い方針・既存システムとの連携可否などを比較することが重要です。料金体系は施設の規模や契約内容によって大きく異なるため、必ず各提供元に確認するようにしてください。
特に汎用AIの活用は、コストを抑えて今すぐ試せるという点で注目されています。「要介護3・脳梗塞後遺症・右片麻痺・本人希望は自宅復帰」という情報を入力して、目標案を出してもらうだけでも、ケアプラン作成の視点が広がる体験ができます。
AIケアプランを使う上での注意点と倫理的な考え方
個人情報の取り扱いには最大限の注意を
AIツールに利用者情報を入力する際、個人が特定できる情報(氏名・住所・生年月日)は絶対に入力しないことが鉄則です。特にクラウド型のチャットAIは、入力した情報がサーバーに送信される仕組みのため、匿名化・一般化した情報で使うことが基本です。個人情報保護委員会も、生成AIサービスの利用について注意を呼びかけています(個人情報保護委員会の注意喚起)。施設としてのルール整備も含めて、慎重に運用してください。
「AIが作った」では通らない、専門職の責任
ケアプランはケアマネジャーの専門的判断によって作られる公的な書類です。運営基準でも、介護支援専門員が居宅サービス計画の原案の内容を利用者や家族に説明し、文書で利用者の同意を得ることが定められています(e-Gov 法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」第13条)。「AIに作ってもらいました」は法的にも職業倫理的にも通用しません。AIはあくまで思考を補助するツールであり、最終責任は必ず専門職が持つ、という意識を忘れないようにしたいです。
まとめ:AIは「敵」じゃなく「相棒」になれる
AIケアプランについて調べれば調べるほど、感じることがあります。それは「AIは介護士の仕事を奪うのではなく、介護士が本来やりたかった仕事に集中させてくれる可能性がある」ということです。
書類に費やしていた時間を、利用者さんとの会話に。文案を考える時間を、家族への丁寧な説明に。そういう未来が、AIの活用で少しずつ近づいているのかもしれません。
もちろん、今すぐ完璧なツールがあるわけではないし、現場に導入するには乗り越えるべき壁もたくさんあります。でも、「使わない理由を探す」よりも「どう使えるか探る」姿勢で向き合うことが、これからの介護専門職には必要だと感じています。
まずは汎用AIに1件だけケアプランの目標案を提案させてみる、そこから始めてみませんか?
参考にした公的な資料(2026年10月17日に確認)
- e-Gov 法令検索「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」
- 厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」の掲載ページ
この記事はAIの補助を受けて作成し、介護現場18年の筆者が内容を確認しています。


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