介護記録にAIを使う前に、先に決めておきたいこと

AI活用術

筆者は介護の現場で18年働いてきました。その間、記録には毎日向き合ってきました。1勤務の記録に、30分から1時間はかかります。「この時間を少しでも減らせないか」と考えて、AIを試してきました。

この記事では、うまくいった使い方を並べるより先に、「AIに入れる前に決めていること」を書きます。順番を間違えると、時間は減っても、別の困りごとが増えるからです。

先に決めるのは「入れない物」より「順番」

筆者は、AIに入れる前の決まりを、品目の線引きではなく順番の話として持っています。セキュリティを整えてから入れる。職場のルールを作ってから入れる。この順番です。

AIで一番怖いのは、個人情報をうっかりAIに入れてしまうことです。次に怖いのは、事実と違う記録が残ることです。AIの文章は、もっともらしく書けてしまいます。記録は公的な証拠にもなります。だから、誰が責任を持つのかを、先に決めておく必要があります。

実際に試したこと

個人情報を入れない範囲で、次のことを試しました。

  • 音声入力・文字起こし
  • 下書きの文章化
  • 文章の言い回しの相談
  • 制度や加算を調べるときの入口(最後は公式の資料で確認します)
  • Excel・VBAのコード作り
  • 考えの壁打ち

AI以前から、その場でのメモ、定型文やテンプレートの使い回し、Excelや自作の道具での効率化を続けています。AIは、その延長にある道具のひとつです。

AIに任せるのは、下書きの文章化まで

記録でもケアプランでも、AIに任せられるのは、下書きを文章にするところまでだと考えています。

本人や家族の言葉のニュアンス、数字にならない小さな変化、「どこまで書くか」のさじ加減は、AIには書けません。材料を集めることも、本人の言葉を聞くことも、最終的に判断することも、人間の仕事です。

なお、ケアプランの下書きへのAIの活用は、いま導入の準備をしている段階です。まだ本格的には使っていません。

使い始める前の3つの確認

  1. 個人情報を入れない。 氏名や住所など、特定につながる情報は入れません。入れる前の決まりを、職場で作っておきます。
  2. 出てきた文章は下書きとして扱う。 事実と合っているかを、必ず自分の目で確かめます。
  3. 職場のルールを確認する。 外部のAIを業務で使ってよいかは、施設や法人の方針で決まります。迷うときは、管理者や情報セキュリティの担当者に相談してからにします。

時間は、慣れるまで増えることがある

電子記録への切り替えは、現場で経験しました。移行には半年ほどかかり、記録の時間は慣れるまでは増えて、慣れてから減りました。

AIも同じかもしれません。使い始めの数週間は、確認の手間で時間が増えることがあります。ここは、これから試す方への見立てです。実際に何分減ったかという数字は、この記事では出しません。

まとめ

AIは、記録の時間を減らす助けになるかもしれません。ただ、その前に「順番」を決めておくことが大切です。

セキュリティとルールを整える。個人情報を入れない。出てきた文章は下書きとして確かめる。この3つを決めてから、まず下書きの文章化から試してみてください。

この記事を書いた人

介護の現場で18年。介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)。介護の仕事をする人が、AI や Excel を安全に、無理なく使えるように、公開されている資料と現場の経験で確かめた使い方を書いています。

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