ケアマネジャーの仕事には、書く作業が多くあります。モニタリングの記録、ご家族への説明文、担当者会議の資料などです。AIに下書きを頼もうとして、「一般論ばかりで使えない」と感じた方もいると思います。この記事では、頼み方(プロンプト)の型と、個人情報の扱いを、順番にまとめます。
なお、筆者は、ケアプランの下書きへのAIの活用を、いま導入の準備として進めている段階です。まだ本格的には使っていません。この記事は、実績の紹介ではなく、頼み方の考え方の整理です。
使えない答えが返ってくる、よくある理由
「モニタリング記録を書いて」とだけ頼むと、AIには、誰の、どんな状況の記録なのかが分かりません。そのため、当たり障りのない一般論になります。AIの性能だけの問題ではなく、頼み方の問題が大きいと考えています。
ケアマネの仕事で、特に起きやすい壁が3つあります。
- 個人情報を入れられない。 氏名や住所を伏せると、状況が抽象的になり、答えも一般論になりやすい
- 介護保険の用語が、伝わりにくい。 「自立支援」「意向」のような言葉の意味が、曖昧に扱われることがある
- 施設や地域のルールがある。 一般的な答えでは、自分の所のルールに合わない
頼み方の型:役割・状況・出力の形・条件
次の順番で、1回のメッセージに書きます。
- 役割:「あなたは介護支援専門員の立場で書いてください」
- 状況:事実を具体的に書く(例:「最近調子が悪い」ではなく「服薬の飲み忘れが週に数回ある」)
- 出力の形:見出し、文字数、文体を指定する
- 条件:「様子観察」「特変なし」のような曖昧な表現は避ける、など
例1:モニタリング記録の下書き(例で、実在の方ではありません)
あなたは介護支援専門員です。次の情報から、モニタリング記録の下書きを作ってください。
【利用者の状況】(氏名は伏せています)
・80代女性、独居、要介護2
・利用サービス:通所介護、訪問介護(生活援助)
・前回からの変化:入浴を拒んでいたが、今月から入れるようになった
【出力の形】
1. サービスの提供状況 2. 目標の達成状況 3. 本人・家族の意向 4. 今後の方針
【条件】
・自立支援の視点を含める
・「様子観察」「特変なし」のような曖昧な表現は避け、具体的に書く
例2:ご家族への説明文の下書き(例です)
あなたは介護支援専門員です。遠方に住むご家族に向けて、お手紙の文案を書いてください。
【状況】服薬の飲み忘れが増えている。訪問看護の追加を検討したい
【トーン】不安をあおらず、事実を落ち着いて伝える。提案は押しつけず、選択肢として示す
【入れる要素】現状の事実・考えられるリスク・提案する内容・ご家族に判断してほしい点
【条件】400字前後、敬体
個人情報は入れない。入れる前の決まりを先に
氏名・生年月日・住所・連絡先は、AIに入れません。「Aさん」のように置き換えても、特定につながる情報が残る場合があります。外部のAIを業務で使ってよいかは、施設や法人の方針で決まります。迷うときは、管理者や情報セキュリティの担当者に相談してからにします。
筆者は、AIに入れる前の決まりは、品目の線引きよりも順番の話だと考えています。セキュリティを整える、職場のルールを作る。そのあとで入れる、という順番です。
出てきた文章は、下書きとして扱う
AIの文章は、もっともらしく書けてしまいます。記録は、公的な証拠にもなります。事実と合っているか、本人の言葉のニュアンスが落ちていないかを、自分の目で確かめます。次の2点にも気をつけてください。
- 文章が整いすぎて、浮くことがある。 自分の言葉に直す工程を入れます
- 同じ頼み方を共有すると、書き出しが似てくることがある。 書き手ごとに、文体の指定を変える方法があります(これは、考えられる対策の一例です)
制度の点数や加算の要件は、AIの答えに頼らず、厚生労働省などの一次の資料で確かめます。
まとめ
- 頼み方は、役割・状況・出力の形・条件の順
- 個人情報は入れない。入れる前に、職場のルールを確認する
- 出てきた文章は下書き。事実の確認と、最後の判断は人間の仕事


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