給食業務そのものをAI化できるか──献立提案・発注自動化システムの構想を本気で設計してみた

介護DX
Photo by Ello on Unsplash

勤務表、配車表、予約管理と自動化を進めてきて、次に見据えているのが給食業務そのものの自動化です。今回は、まだ構想段階のシステムについて書きます。完成報告ではなく設計メモに近い内容ですが、「介護施設の給食業務をAIでどこまで支援できるか」を考えている方の参考になればと思います。

給食業務は、実は自動化の題材として理想的

給食業務を分解すると、献立作成、食材の管理、必要量の計算、業者への発注、栄養管理、原価管理、年次の栄養報告と、定型的な計算と創造的な判断が入り混じった業務の塊です。毎日発生し、絶対に止められず、しかも属人化しやすい。自動化の効果が出やすい条件が揃っています。

構想している機能を挙げると、献立候補の自動提案、食材・調理法・味付けの重複防止、レシピ生成、食数管理、必要食材量の計算、発注データの生成、業者別の発注、WEB注文やWEB FAXへの対応、栄養管理、原価管理、年次栄養報告への対応、といったところです。

一番大事な設計思想:AIに「数値の確定」をさせない

この構想で最初に決めた原則があります。AIと計算ロジックの役割をはっきり分けることです。

  • AIが担当する領域:献立候補の提案、レシピの文章化、「先週と食材や調理法が被らないように」といった発想面の支援
  • データベースと計算ロジックが担当する領域:栄養価の数値、食数、必要食材量、発注量の計算

理由は単純で、生成AIは発想は得意でも、数値の正確性は保証できないからです。栄養価や発注量をAIの出力にそのまま委ねると、もっともらしい間違った数字が混ざるリスクがあります。給食は入居者の健康に直結する業務なので、数値は必ず決まったデータとロジックで計算し、AIは「候補を出す」「文章にする」という得意分野に専念させる。この線引きが、構想全体の背骨です。

いきなり完成形を目指さない、5段階の導入計画

もう一つ決めているのが、段階導入です。

  1. 現行の資料・レシピ・食材・業者・発注様式・現場ルールを確認する
  2. 完成イメージ版を作る(現場と目線合わせをするための試作)
  3. 業務試験版で実際の業務に部分的に使ってみる
  4. 施設実用版として日常運用に組み込む
  5. 外部連携版(WEB注文など)へ拡張する

勤務表や配車表の開発で学んだのは、最初から完成形を作ろうとすると、現場の暗黙ルールを拾いきれないまま大きなものが出来上がってしまう、ということでした。特に給食は、献立の組み方一つとっても施設ごとの流儀があるはずです。まず現行業務の確認から入り、小さく試して現場の反応を見ながら育てる。遠回りに見えて、これが一番確実だと考えています。

構想段階で既に見えている論点

設計を進める中で、いくつか論点も見えています。食材の「重複」をどの期間・どの粒度で判定するのか(同じ鶏肉でも調理法が違えば別と数えるのか)。業者ごとに発注様式が違う中で、発注データをどう共通化するのか。年次栄養報告のフォーマットに合わせたデータの持ち方をどうするか。

どれも、コードより先に現場の運用ルールを聞き取らないと決められないことばかりです。勤務表のときと同じで、この構想も結局は「給食担当者の頭の中を言語化する」ところが本丸になる予感がしています。

進捗はまたブログで

このシステムはこれから段階を踏んで作っていきます。うまくいったことも、つまずいたことも、これまでの開発記録と同じように正直に書いていくつもりです。給食業務の自動化に関心のある方は、続報をお待ちください。


AI介護士kaze運営者。介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士の資格を持ち、介護現場歴18年。現場のリアルな課題感を起点に、AI×介護の実用性を探求・発信しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました